作家について








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二十歳のころ、自分が何をしたいのかがよくわからずニュージーランドを旅していて、
ある農場にめぐり会いました。農場主のジョーは、荒野を切り開き、家を建て、
家具をつくり、農業をして、自然と調和した美しいライフスタイルを長い時間かけて
築き上げていました。
そこでいろんな作業を手伝うことになったのですが、道具の使い方も、ものづくりの基本の考え方も、
なにも知らない僕はよく失敗をして面倒をかけていました。
そのたびにジョーはあきれ顔で、
「おまえはそんなこともわからないのか?二十年間なにを学んできたんだ。」
と言って、怒りつつもいろんなことを教えてくれました。
なんでもない石ころや木が、ジョーのアイデアと技術によって建物の一部や家具、様々なものに生まれ変わっていく
プロセスを目の当たりにし、そのすごさに圧倒されました。
同時に、自分がいかに何もできない人間であるかを思い知らされました。

日中はジョーの手伝いをし、夜や早朝の空いた時間に自分と向き合い、考えを巡らしたり、実際に手を動かしたりして、
半年近くを過ごしているうちに、自分は道具を使ってものを作ることに興味があり、やりがいを感じることがわかってきました。
「日本には優れた伝統技術がある、日本人なのに僕は何も知らない、きっと何か見つかるはずだから、とにかく帰国して一から出直そう。」
と決心して帰国しました。
あれから縁あって漆を学び、つまづきながらもいろんな人に助けられ、少しずつですが作品を作ってきました。


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<追伸>
漆の技術を学んで、少しずつ作品を発表し始めたころ、ジョーが亡くなったことを大学の友人が知らせてくれました。
自分が切り開いたRAINBOW VALLEY FARMで愛する奥さんに看取られながら、静かな最期をむかえたそうで、
いかにも彼らしいなと思いました。
いつかはニュージーランドの旅で再会して、自分の作品を見てもらって、
「ヘイ、アキオ。お前も少しはまともなものが作れるようになったじゃないか。」
なんて言ってもらえることを夢みていたので、それはもうかなわなくなってしまいました。

しばらくはショックで、周りとの距離がうまくとれず、何にもやる気が起きない期間をすごしていたが、ある日、
自分は次のステージに進まなくてはならないという気持ちがわいてきて、覚悟を決めて、黙々と制作を始めました。

ジョーに怒られたこと、教えてもらったこと、一緒に笑ったこと、生き様に感動したこと、いろんなことが今でも
自分の中に生きているし、目をつむると鮮明に思いだすこともできる。そのことに感謝して、一歩ずつでも
前に進んでいきたいと思います。

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